推しの子164話 Raw – フルイメージバージョン | 「推しの子」もいよいよ終盤に差し掛かりました…最終章を読み進めてみましょう!
推しの子164話「終幕」
最新話では、あかねの視点から物語が語られ、アクアの遺体が発見されたことが明らかになります。つまり、アクアの死が確定したのです。
最悪の選択肢
今回、アクアが選んだ行動は、これまでの考察通り、自己満足の復讐という結果に至り、ルビーや重曹、あかねの誰も幸せにはなれませんでした。アクアの死に意味があったのか、カミキの殺人を止めるための唯一の方法だったのかさえ疑問が残ります。
表面上はルビーのために選択したかのように見えますが、ルビーの願いはアクアが生きていることが前提であり、他にも方法があったのではと感じられます。さらに、あかねや重曹も彼の選択肢から外れていました。走馬灯の中で「もしも」の世界が描かれていましたが、あかねは復讐に関わることなく、重曹も卒業ライブを見届けてもらえませんでした。
つまり、誰一人選ばれていなかったのです。
裏を返せば、さまざまな理由を並べながらも、最後に優先されたのはアクア自身の復讐心だったように見えます。
これまでの展開の意義を問いたくもなります。アクアが経験してきた成長や、ルビーのアイドルとしての覚醒、重曹のアイドル卒業、あかねの関与などが、全て意味をなさなくなってしまったようです。
アクアの選択は「熟考の末の決断」ではなく、「悩んだ末に全てを投げ出した」ように感じられます。すべてを投げ捨て、自己満足を優先したのです。
確かに、アクアの心理描写は走馬灯の中で表現されていますが、ゴローとしての心とアクアとしての心が交じり合い、自信を持てなかったことが描かれています。しかし、最終的には何も選ばない決断に至ったようです。
こうした選択では、葛藤が描かれても響きません。
ラブコメのような展開も好みではないですが、通常は一人一人との関係や心情、選択の経緯があり、最終的に一人に絞るものです。最近では複数人の関係を描く漫画もありますが、それでも主人公が選択をしているのです。
そうした観点から見ると、アクアの「何も選ばなかった」という決断は、近年まれに見るほどの無力感しか残さない選択です。これを見るために160話近くを追ってきたのか、と感じてしまいます。
未来軸インタビュー(追記)
最新話の展開に関連して、もう1つ気になる点があります。それは、未来軸のインタビューに関する話です。確認されている事実として、アクアのインタビューはカミキにアイの手紙を見せる前に行われているということです。
一方で、他のインタビューの時系列はまだ確定していません。たとえば、重曹のインタビューが卒業ライブの前後どちらなのかは不明です。
確実なこととして、五反田監督のインタビューはまだ行われていないと考えられます。『15年の嘘』がノミネートされているインタビュー内容であり、公開前に撮影されたものではないからです。気になるのは、五反田監督がインタビューでアイのみに言及していることです。
「アイに捧ぐ」
アクアの死が確定しているならば、このニュアンスにアクアの存在も含まれていて良いはずです。この違和感は、残り2話の展開に影響を与える可能性があると思われますので記しておきます。
今週の重曹ちゃん
あと2話が残されています。
しかし、これで重曹が幸せかどうかという問題に限らず、物語全体がハッピーエンドで終わることが難しくなっているのではないでしょうか。残り2話でルビーや重曹がアクアの死を受け入れ、未来に進む姿が描かれたとしても、個人的には納得しがたいところです。
ライブの後、重曹もアクアの姿を探しています。第38話でその意志を示し、それが遂に実現するはずだったからです。
この先、何が描かれるか。正直に言えば、この選択を経て何が描かれても、既に期待感は薄れてしまいました。仮にアクアが奇跡的に生存していたとしても、全員を選ばなかった事実や、重曹の卒業ライブを聴いていない事実は変わらないのです。
ギャグ漫画にもならない。
残された2話は惰性で進むだけでしょう。